写真家 佐藤岳彦 Takehiko Sato

Tef Tef Life Blog 生命の織り成す世界

黄蝶と紅蜆

ベニシジミ


 気がつけばこんな季節になってしまった。いつもの谷戸をやや呆然気味でぐるりと見渡す。コナラはだらしなく色づき、風がびゅるりと吹くたび葉は宙を舞い青空に映えた。頼りない陽光は早くも傾きはじめ、黄色いシロチョウがふらふらとやってくる。キタキチョウだ。その飛び方もまた陽光と同様に頼りなく、陽が雲に隠れるとサッと藪の中に潜り込んだ。わたしのいる場所とその藪の間には幅1メートルほどの小川が流れていた。少し迷ったがそれをひょいと飛び越え、そっと藪へと近づいた。キチョウはシダの葉裏にしがみつきじっとしている。葉がごちゃごちゃと入り乱れ、カメラをねじ込むのもやっとである。座り込んでしばらく眺めていると、じわじわと足のほうから冷えてきた。キチョウもそうであるのか、丁寧に触覚同士をくっつけ、それを前翅の内側へと押し込んだ。その様は妙に蠱惑的であった。今日はこのままここで寝てしまうのだろうか。随分早い就寝だが、この季節では仕方があるまい。暖かい日にはまた動き出すのであろう。明日かあさってか、それとももうちょい先か。そして写真は全く関係のない春のベニシジミ。いや撮影場所は同じだから全く関係なくもないか・・・。


Lycaena phlaeas daimio, 2010, Kanagawa, Japan)
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  1. 2010/12/11(土) 19:00:10|
  2. 近所をウロウロ/My neighborhood

プロフィール

Takehiko Sato

Author:Takehiko Sato
写真家 佐藤岳彦

1983年 宮城県生まれ、東京都在住。
大学院(森林動物学)中退後、写真家の道へ。
傍らの自然から熱帯のジャングルまで、「密やかな野生」を軸に生命の織り成す世界を追いかけている。

2011年からは明治神宮の森を撮影し、写真集『生命の森 明治神宮』(講談社)や『ナショナルジオグラフィック』などで発表している。

キーワード
「生命、多様性、生死、つながり、生態系、細部、小さきもの、陰なるもの、見えにくいもの、見えないもの、得体の知れないもの、気配、密やかな野生」


WEB SITE
Tef Tef Life


E-mail: mothnake@yahoo.co.jp


News
写真集
生命の森 明治神宮」講談社より発売中。




写真の無断複写・転載を禁じます。
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